ドクターQ&Aコラム

2018.04.04更新

 急性虫垂炎は大腸のなかの盲腸にある、虫垂という臓器に炎症がおこる病気です。

 


 症状としては、まずはみぞおち部分の痛みや、発熱、吐き気、下痢などがおき、徐々に右下腹部に強い痛みが移動してきます。

ただし、虫垂のある場所は個人差があり、症状も多彩なため、診断が困難な場合もあります。治療が遅れてしまうと、虫垂に穴が空き、お腹の中で膿みや炎症が広がり、重篤になる場合もあるので注意が必要です。

初期の症状では、通常の急性胃腸炎との違いが判断できない場合もあり、胃腸炎と診断を受けた後も経過観察をすることが、大切です。

初期の段階でも、歩いたり、スキップした際に右下腹部に響く場合は注意が必要になります。

 

 診断は主に病歴や身体所見で行い、右下腹部に急に離したときに痛みがつよくなる反跳痛(腹膜刺激兆候=腹膜に炎症のある所見)などが見られる場合が多いです。

その後、他の疾患(憩室炎や大腸癌など、とくに女性の場合は卵巣の炎症や骨盤内炎症症候群など)を除外するためや、その後の治療に必要な虫垂内の糞石の有無や炎症の程度を調べるために、腹部CT検査(可能であれば造影)にて診断をつけていきます。

また、最近では腹部超音波検査での診断も可能になってきており、経時的に経過をおえることや、侵襲の少なさから初期の診断に用いられています。(ただし、病院では最終的にはCTで診断をつける場合がほとんどです。)

 

 治療に関しては主に抗生剤による保存療法と、虫垂切除術が行われます。

症状が軽く、糞石などの虫垂に穴があくリスクの低い患者さんには、保存療法が選択されます。

抗生物質を投与すること、生活指導(基本的に症状がある場合は食事は控えてもらうなど)になります。

ただし治療を行っても、症状が増悪する場合や改善が見られなかった場合は、外科手術へ移行する場合もあります。

また一度炎症が改善しても再発する場合もあり、繰り返す場合には、手術をお勧めすることもあります。


 症状が重篤な場合(虫垂に穴があき、膿瘍を形成しているなど)や、症状が繰り返している場合(以前保存療法で軽快したなど)、虫垂内に糞石がある場合(虫垂に穴が空くリスクが高いため)は、外科手術が選択されます。

炎症・症状の程度によって、腹腔鏡手術が選ばれる場合もあります。虫垂炎はその重症度に応じて手術の方法が大きく変わる病気ですので、担当医師としっかり相談をして治療方針を決めることが大切です。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2018.01.18更新

 検診などで、食道裂孔ヘルニアと指摘されることもあると思います。

 

 口から食べた食べものは食道を通り、胸とお腹の境にある「横隔膜」を越えて、胃に入っていきます。この「横隔膜」には穴が開いており、この穴を食道裂孔と言います。 食道裂孔ヘルニアとは生まれつきや年齢を重ねることで、食道裂孔を支える筋肉が緩くなり、お腹にあるはずの胃が、胸の部分に飛び出てしまうことを言います。

 食道裂孔を支える筋肉がゆるむと、胃と食道の逆流を防止する機能が弱ってしまうため、多くの場合逆流性食道炎を合併しています。ただし無症状の方が多く、治療は必要ない場合がほとんどです。また治療をおこなう場合も、食道裂孔ヘルニアに対する治療ではなく、併存する逆流性食道炎に対する治療がメインになってきます。

 

 診断は、主に胃カメラでされます。また胃カメラの場合、食道裂孔ヘルニアの診断だけでなく、逆流性食道炎の程度や、食道や胃の悪性腫瘍の有無も判断できるため、定期的に受ける必要があります。

 

 成人以降に発症する食道裂孔ヘルニアには多くが症状はなく、無症状であれば治療の必要はありません。症状がある場合も、合併する逆流性食道炎に伴う症状がほとんどです。

 逆流性食道炎に対し、生活指導(脂肪分・チョコ・熱いコーヒーなどの制限、食後2時間程度横にならない、コルセットや洋服などでの腹部の過度の圧迫の禁止など)や、薬物治療(胃酸分泌を調整する薬、食道・胃粘膜を保護する薬、消化管の蠕動運動を促す薬など)を併用していきます。 それでも改善しない場合や脱出部分が大きく胸部の臓器を圧迫するような症状がある場合には、必要になる症例は非常に限られますが、外科手術(腹腔鏡手術が一般的になってきています)を行う場合もあります。また、一部の医療機関では胃内視鏡検査での治療も研究が行われているようです。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.09.17更新

 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起きる病気といわれています。

 

 帯状疱疹は、子供の時に「水痘(みずぼうそう)」にかかった時から、神経の中に潜伏していた「水痘帯状疱疹ウイルス」が、再び活動を始めることによって起きるウイルス感染症です。子供の時に水痘にかかった人なら、だれでもかかる可能性があり、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。  

 帯状疱疹にもっともかかりやすいのは、50歳代以降ですが、最近は20歳前後の若い方にもみられることがあります。(近年は少子化により水痘患者に会う機会が少なく免疫が追加されないため、若年者の発症や、2度以上かかる場合も増えているといわれています。ただし高齢者で2回以上かかる場合には、免疫に異常がある場合があり、全身の悪性腫瘍の検査などが必要になります。)  

 症状は、全身の左右どちらか一方だけに、びりびりとしたつらい痛みをともなう小さな水疱が、神経の支配範囲に沿って帯状に現れます。顔面に出た場には、目や耳・顔面神経の麻痺、髄膜炎などを合併することもいわれています。また痛みが水疱が治った後も長く続くことがあります(帯状疱疹後神経痛)。  そのため、万が一発症した場合には、出来るだけ早期にウイルスの増殖を抑える内服薬の服用が効果的です。  

 

 また、近年帯状疱疹の予防接種も注目されています。60歳以上の方への接種によって、帯状疱疹の可能性を約半分にしたとの報告もされています。効果は5年との報告もありますが、基本的には一度の接種で予防効果は十分と考えています。もしご希望の方は遠慮なくお問い合わせください。またワクチン接種にご不安・ご不明な点があれば、外来に受診の上、御相談ください。接種は予約制になりますので、受診前にご連絡をお願いします。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.09.03更新

アクアリウム1アクアリウム2

待合室、診察室にアクアリウムを設置しました。

待ち時間を少しでも楽しい時間に、水の揺らぎや熱帯魚たちが岩間や水草の合間を楽しそうに泳ぐアクアリウムで少しでも苦痛を和らげることが出来ればと思っています。(半分以上自分の趣味ですが。。。)

 

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.08.01更新

本日より全自動血球計数器+臨床化学分析装置導入いたしました。下記の検査項目の測定が数分で測定可能になりました。

全自動血球計数器+臨床化学分析装置

①感染症の診断・治療の重要な指標である白血球検査と炎症反応(CRP)

 

この結果で、「感染の原因が細菌なのかウイルスなのか」、「(特に高齢者の方において)重症度はどの程度なのか」がすぐに判明し、治療に反映できます。

 

②貧血の指標となるヘモグロビン量(Hb)、赤血球数(RBC)

 

吐血や下血をされている患者さんの、出血の程度・重症度が判定でき、治療方針の一助といたします。

 

③糖尿病の治療指標となるHbA1c

 

過去約1−2ヶ月間の血糖値の平均を反映し、血糖値のように食事などの影響は受けません。特にHbA1cが7%以上の場合、糖尿病の合併症が発症・悪化していくといわれいます。

受診日当日に直近の糖尿病(生活習慣)の状態を把握することで、生活習慣改善の一助になると思います。

 

 

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.07.11更新

男性型脱毛症に対する治療薬「ザガーロ」の取り扱いを始めました。

ザガーロは男性ホルモンの生成を抑制する男性型脱毛症(AGA)の治療薬として2015年より認可を受けた医薬品になります。

比較的新しい薬剤ですが、以前より前立腺肥大症の治療薬として使用されてきた「アボルブ」と中身は同一の薬品であり、安全性についても比較的確立している薬品になります。

 

効果:

「男性における男性型脱毛症」に対する発毛効果(毛が増える)、育毛効果(毛が太くなる)が、既存の治療薬より、治療効果が高くなっているようです。また、服用期間中に耐性ができで、効果が失われることもないようです。

 

副作用について:

日本人に対しての長期投与試験での副作用の報告では、本剤が投与された総症例120 例中20 例に副作用が報告され、勃起不全13 例、リビドー減退10 例、射精障害5 例などが見られたようです。多くが服用中止後改善したようですが、投与中止後も持続したとの報告もあるようです(ただしザガーロとの関連性や、なぜつづいているのかは不明だそうです)

 

処方について:

すべて自由診療になります。費用は下記参照ください。初回のみ診察が必要となりますので、ご予約の上受診ください。その後は処方のみでも結構です。ただし、服用に関するご相談の際は遠慮なくお申出ください。

 

価格:

診察料は1000円 1カ月分(30錠) 税込み9000円 長期処方希望あれば3ヶ月までの処方をいたします。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.06.03更新

 

 重複がんとは、異なる臓器に異なる「がん」が発生することいいます。一つの癌が他の臓器に転移をする場合(大腸癌の肝転移など)や、同じ臓器にいくつもの癌が出来る多発癌(多発性肝細胞癌)とは、異なる概念です。

 重複がんには、それぞれのがんが発生する時期が1年以内の「同時性重複がん」と、1年以上の「異時性重複がん」があります。頻度は研究結果によって差が出ますが、おおよそ同時性重複がんが1-10%くらい、異時性重複がんが1-15%くらいといわれています。

重複がんの誘因として、①危険因子の共通する、②同じ遺伝子の異常が原因となる、の2点があげられます。危険因子の共通するがんには、たとえば喫煙による喉頭がん、咽頭がん、肺がん、食道がん、膀胱がんなどが知られています。また同じ遺伝子異常が原因になる場合では、「腺癌」という同じ癌の種類を発生する胃、大腸、肺などがおこる場合があります。

 特に胃がんと大腸がんは重複しやすいがんと知られており、実際に胃がんを指摘された患者様に大腸内視鏡検査を行うと2-5%程度の頻度で大腸がんが発見されることが知られています。

 がん治療後の患者様は、どうしてもそのがんの再発・転移に注意を奪われがちです。しかし重複癌の存在も念頭に置き、他の癌の検診もしっかり受けることをお勧めいたします。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.04.01更新

 

 

厚木胃腸科医院の2016年度 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)の実績をまとめました。

 


 

平成28年度(2016.4.1~2017.3.31) 内視鏡検査実績 件数(各ポリープ手術を含む)
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) 1694件
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ) 1031件
計 2725件

 


 

平成28年度(2016.4.1~2017.3.31)超音波検査(腹部・その他)件数
腹部超音波検査 1239件
その他超音波検査 114件
計 1353件

 


 

当院では少しでも苦痛なく安全な検査、見落としのない検査を心がけおり、継承以降着実に検査実績を増やしてします。

来年度以降は自分の信頼における内視鏡専門医の先生方と共に、 「健康づくりの拠点」として地域医療に貢献できればと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿者: 厚木胃腸科医院

2017.01.15更新

 年末から毎日、 嘔吐・下痢・発熱の患者さんが増えてきています。冬に嘔吐・下痢を起こす病気の代表格がウイルス性胃腸炎です。その原因として有名なのが、ノロウイルスです。胃腸炎症状のかたのなかで、「ノロウイルスかどうか調べてください」「職場から検査するように言われました」とお願いされることがあります。しかし、現状ではノロウイルスかどうか検査することには、ほとんど意味はありませんので、ご説明の上、お断りすることが多いです。その理由をお話しできればと思います。

 一番の理由として、ノロウイルスは診断しても「意味がない」&「治療法がない」ことがあげられます。ウイルス性胃腸炎を起こすウイルスには、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルスなどいくらでもあります。またいずれのウイルス性胃腸炎であっても有効な治療法(インフルエンザのタミフルのようなもの)がなく、周囲の方への感染もします。

 ほとんどの胃腸炎は放っておいても1-2日で吐き気・腹痛・発熱・関節痛などは改善します(下痢のみ1週間ほど続く場合があります。)、そのため胃腸炎を治すではなく、脱水状態に陥らないことが大切です。そのためは水分(たとえば、OS-1やスポーツ飲料)飲むことです。いきなりゴクゴクと飲むと吐き気を誘発することがあるので、一口のんだら10-15分休む→一口のんだら10-15分休むを繰り返します。少しずつ飲んで、一晩たつと嘔吐などの症状はかなり改善することが多いです。

 第二の理由として、ノロウイルスは遺伝子型がいくつもあり、検査で陽性ならばノロウイルスの可能性が高いですが、陰性の場合でも違うとは言い切れないことです。またそのために、大人になっても免疫ができず、繰り返し感染したり、お子さんから大人にもうつることが多いのです。予防するためには、手洗いをするしかありません。普段から意識して行うようにお願いしています。

 以上の理由もあってノロウイルスの検査は3歳未満と高齢者・ハイリスク患者さんにしか保険が利きません。もちろん希望者(仕事上やむを得ない方には)検査をすることも可能でしすが、上記の内容はご了承いただければと思います。

 

 

投稿者: 厚木胃腸科医院

2016.04.13更新

Case6.胃のポリープ|タウンニュース県央版「ドクターQ&A」

投稿者: 厚木胃腸科医院

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